史上最大のリーク パナマ文書の衝撃 日本人の名前は?

 四月三日、中米パナマに本拠地を置く法律事務所「モサク・フォンセカ(以下モスフォン)」の名が、メディアを通じて世界中に知れ渡った。タックスヘイブン租税回避地)として有名なパナマで世界の富裕層の資産を「守って」きた同事務所の四十年分、千百五十万件の機密データが白日のもとに晒されたのだ。
 これにより世界中の富裕層や大企業、公的組織の隠し持つ資産規模、資金洗浄や税金回避の実態が浮かび上がった。そこには英国のキャメロン首相や、ロシアのプーチン大統領といった政治指導者の関係者、サッカーのリオネル・メッシ選手や映画監督のスタンリー・キューブリック氏に至るまで、あらゆるジャンルの著名人の名前が確認できる。報道開始から二日後には、名前の挙がったアイスランドの首相が辞任した。
「鉄壁」とも評されていたモスフォンの機密保持機能はどのように破られたのか。
 発端は昨年二月、内部告発者からモスフォンの機密情報を入手したドイツ政府が、ドイツ銀行の捜索に踏み切ったことによる。これを報じた南ドイツ新聞のB・オベルマイヤー記者のもとに後日、「不正を暴きたい」という匿名の連絡が入る。何度かのやりとりを経て、同記者のもとには、複数の小包が届いた。ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)のディレクター、G・ライル氏とともに小包を開けた同記者は、一つの箱に数百万点ものeメールのやりとりなどからなる「文書」を発見したのである。
 現在、ICIJに加盟する報道機関所属の約四百名の記者が同文書の解析に挑んでいるが、日本に関しては警備大手「セコム」創業者の名前と、いくつかの大企業が挙がったくらいで報道が少ない。
「日本では共同通信が今年からICIJに加盟しており、本社で特別取材班が分析に当たっています。ただ、なにしろデータが膨大で、今回暴露されたのは、その一部。今後五月まで段階的に明らかになっていく過程で、日本人の名前が出てくる可能性は高い」(在米ジャーナリスト)
 世界の金融ビジネスを支える裏のネットワークの存在を明らかにした「史上最大のリーク事件」。その本当の衝撃は、これからだ。

週刊文春」2016年4月21日号